とりあえず書き終わり。
2022/08/17 色々書き足し。
2022/08/28 視聴者のキャパについての仮説を追加。
タイトルの「ラーメンハゲ」とは『ラーメン発見伝』に出てくる芹沢達也の事。
芹沢達也 (せりざわたつや)とは【ピクシブ百科事典】
boketeの「ハゲメガネモード発動」の人でもある。
『仮面ライダーリバイス』を見ていて分かった事、思った事。
●視聴者はキャラクターの心情など分かっていない
ここでいう視聴者とは、よくいるタイプの視聴者、平均的な能力の視聴者、普通の視聴者の事を指す。
ニチアサ視聴者の視聴力は、俺の想定よりもかなり低いのではないか、と思い始めている。
●話がガバガバとか破綻しているとか言っている人は、そもそもストーリーや設定を理解していないのではないか
「ガバガバ」とか「破綻している」とかはよく見かける指摘だが、じゃあどこがガバガバでどこが破綻しているのか、具体的に指摘できている人をほぼ見かけない。
指摘できていても、説明がつきそうなものも結構多い。
いや、中には実際にガバガバな部分もあるだろうが、ガバガバでない部分に対してもガバガバと言ってしまうのはなぜなのか。
●なぜガバガバに感じられてしまうのか?
簡単に書くとストーリーは
A→B→C→D→E→F→G→・・・
と繋がっていくが、どっかでBDFの描写を見落とすと
A→C→E→G→・・・
と話が飛んでいるように見えてしまう。
特にニチアサの視聴者だと、
「心理描写はまず間違いなく見落とす。または見ても理解できない」と思っていい。
(見てないから理解できないのではなく、見ても理解できない。ちゃんと見れば理解できる説なら、国語のテストの文章読解は全員満点取れてないとおかしい)
(同じ人間は同じ所を何回も見落とすので、何回見ても気付けない。これはゲームの探索や『ウォーリーを探せ』や推理小説でも一緒)
ライダー視聴者は
「他人の気持ちが理解できないエゴイスト」なので、
「心理描写を入れたらその場で即口頭説明を入れないと理解できない」と思った方がいい。
「あんな態度とってるけど、本当はこう思ってるくせに~」みたいなの。
ライダーは論文や報告書だと思って逐一説明しないと駄目。
ほとんどの視聴者は1回しか見ないだろうから、1~2回見たら理解できる内容にしておかないと厳しい。
そもそも1年で50話近く放送するわけだから、2回見る必要があるならライダーだけで100話分の労力が必要になる。戦隊やプリキュアも2回ずつ見るなら、計300話分になる。無理だな。
男の理解力については、前に「男向けの百合」「女向けの百合」の違いとして説明した。
まぼろし劇場 「シャニマス」と「メンヘラ女」と「メンヘラ女好きの男」の研究
試聴力が足りなくて話が破綻しているように感じられるのは、おそらくこういったことが原因。
そして「ダニング=クルーガー効果」により、自分の視聴力が足りてないことを自覚できず、反省しないので成長もしない。
自分の視聴力不足なのか、実際に説明不足なのか、本人には区別がつかないのである。
ダニング=クルーガー効果 - Wikipedia
「自分の理解力が足りないのかもしれない、もう1回見てみよう」なんて殊勝な心掛けの視聴者はほぼいないと思った方がいい。
ラーメンハゲもこう言っている。
大半の人間は単純でわかりやすい刺激しか、理解できない。
ラーメンで言えば塩っ辛いとか脂っこいとか奇妙な具だとか、な。
そのくせそういう鈍感ヤローに限って、自分はものをわかった人間だと思いたがる。
前から『彼岸島』のまとめを見ていても、ツッコミがおかしい人がいて気になっていた。
かなり前に出た設定なら忘れていてもしょうがないが、割と最近出てきた設定もろくに覚えてないのにツッコもうとしている。本当に読んでいるのか?
ラーメンハゲ風に言うと、「ヤツらはドラマを食ってるんじゃない。説明を食ってるんだ!」ってところかな。
ドラマを見て「このキャラはこう考えて、こう感じて、こう行動してるんだな」と思っているわけではない。
口頭説明を聞いて「このキャラはこう考えて、こう感じて、こう行動してるんだな」と思っているだけ。
例として『シン・ゴジラ』とか『斉木楠雄のΨ難』とか『ご注文はうさぎですか?』とか『まちカドまぞく』とか。やたら喋るでしょ。
●ライダー視聴者はドラマを、論文や報告書と勘違いしている?
これは補足として書いておくんだけど、文学とか芸術とかドラマとかってのは、何でもかんでもは説明しないんだよ。
俺がよく例に出すのは俳句なんだけど
「古池や蛙飛びこむ水の音」
どんな池で、どんな蛙で、どんな水で、どんな音がするのか、なんてのは書いてないし、書く必要もないんだ。自分で勝手に想像しろ。
「閑さや岩にしみ入る蝉の声」
どんなふうに閑(しずか)で、どんな岩で、どんな蝉か、自分で勝手に想像しろ。
説明してもらってわかろうと思うな。自分でわかれ。
あえて説明しないものの例は
『∀ガンダム』のターンX
『シャニマス』のさなぴー
あとはベジータとジースの違いに近いかな。
(文学は面倒だから説明してないわけではないが)
いちいち説明するのもめんどうだ…
てめえでかってに想像しろ…
かわいがるといってもアタマをよしよしとなでたり
たかい たかい とかをするんじゃないぞ
いためつけてやるということだ!
説明せんでもいい…!
とはいえ、ちゃんと説明しないと分からない部分は説明しないと駄目だよ。
たとえばニチアサだと頭が吹っ飛ぶとか大量出血するとかは描写できないので、単に倒れてるだけなのか死んでるのか、視聴者には区別できない。
そういう時は「死……死んでる……」って言ってくれないと。
あんまり説明がクドすぎても見てて鬱陶しいので、過不足なく誤解なく簡潔に、といったところか。
漫画の『宝石の国』は軽い会話で簡潔に説明してたように感じるな。
●ライダーが大人の鑑賞に堪えるというのは嘘
リバイスを見ていた人はネットのまとめのレベルの低さに驚いたと思うが、ニチアサ視聴者の視聴力はかなり低い。
俺が今までのライダーや特撮を見た限りでも正直説明しすぎな部分が多く、大人の鑑賞に堪えるというほどでもない。
ただこれは、嘘と言っても他人を騙すための嘘ではない。
自分の視聴力が高いと勘違いしている大人の、事実誤認による嘘。
ここまでは視聴者側の落ち度として書いたが、逆に言うと「視聴者の理解力に依存し過ぎたリバイス側の落ち度」とも言える。
●ラーメンに求められているものは?
『ラーメン発見伝』の続編の『らーめん才遊記』ではこんなことが書かれている。
『麺屋せりざわ』ってラーメン屋さんですよねぇ?
「肉だし清湯麺」はラーメンですよねぇ?
ラーメンとしては、絶対、私のほうが美味しいです。
あのぉ…さっきの話で言うと、私、「肉だし清湯麺」も美味しいとは思うんですけどぉ、あれは「フムフム」なんです。
でも、ラーメンとは…
「ワクワク」なんです。
だって、「肉だし清湯麺」は「フムフム」で、ラーメンは「ワクワク」。
これって、実はかなり本質的な指摘ですよ。
まあ、ボクも彼女の言葉で気づかされたことなんですが…
「肉だし清湯麺」は極めて完成度が高く、「フムフム」と感心はできる。
しかし、まるで芸術作品を鑑賞しているような、よそよそしさも感じる。
何ごとも洗練しすぎると、人を引きつける熱のようなものが失われていきますが、そこに陥ってる面は否定できない。
しかしラーメンの魅力とは、多少荒削りであっても熱く、激しい、祭りやイベントのような「ワクワク」感あふれるところにあります。
これってライダーとかニチアサに置き換えても成立するのではないか?
●ライダーに求められているものは「フムフム」ではなく「ワクワク」?
あのぉ…さっきの話で言うと、私、「リバイス」も美味しいとは思うんですけどぉ、あれは「フムフム」なんです。
でも、ライダーとは…
「ワクワク」なんです。
しかしライダーの魅力とは、多少荒削りであっても熱く、激しい、祭りやイベントのような「ワクワク」感あふれるところにあります。
どう? 成立しない?
●真にニチアサが追求すべきものは?
「ジャリ番から脱して大人の鑑賞に堪えるものを作ろう」ではなく、
「究極のジャリ番を作ろう。ジャリ番界の最高峰になろう」みたいな。
大人のランチを目指すのではなく、究極のお子様ランチを目指そう、的な。
いい意味でのジャリ番感、ジャンク感みたいな。
実際、視聴者にウケてるのはゲンムとかマスターロゴスみたいな、明らかに子供向けの要素だし。
ラーメンだってジャンク感バリバリの意識低い系ラーメンの方が旨かったりするよな。
鮎の芳醇な香りとか知らんわ。
平成最初のクウガで整合性を取ったり大人向けの話にしたりしてたが、それは昭和からの反動でそうなってるだけで、本質的にそういうものが求められていたわけではないんじゃないかな。
具体的に言うとRXの「不思議な事が起こった」ってやつ。
バイオライダーなんて検索サジェストに「チート」「ずるい」「強すぎる」とか出てくるじゃん。
クウガってこれの反動だろ。そりゃ評価されるよ。
その時不思議な事が起こった (そのときふしぎなことがおこった)とは【ピクシブ百科事典】
ドンブラザーズなんかは、平成の縦筋通し路線と、昭和ハチャメチャの回帰路線が上手い感じに融合してて視聴者ウケもいいみたいだし。
「淡口らあめん」より「濃口らあめん」
「淡口めんへら(三峰)」より「濃口めんへら(りあむ)」
「淡口らいだあ」より「濃口らいだあ」
「淡口にちあさ」より「濃口にちあさ」
「芥川賞」より「直木賞」
なので、
ちゃんとしたドラマ畑の脚本家を呼ぶと、かえって裏目に出る可能性がある。
ニチアサのジャリ番感や視聴者のレベルの低さを理解してないからだ。
大人の鑑賞に堪える作品を本気で作ると、視聴者からの評判が悪くなると思っておいた方がいい。
●大人の要素を入れるなら15%程度か
ラーメンハゲが言うには、「鮎の煮干しが活きたオレの理想のラーメンである淡口らあめんのほうを頼むお客サンも、10人に一人か二人はいる」
なので10%~20%程度。
ラーメンハゲの作者は元々音楽雑誌の編集者だったらしいし、ラーメンハゲの漫画には石神っていうラーメン界の有名評論家も協力している。
でたらめな数字ではなく、どこの業界でも大体15%前後に落ち着くんじゃないかな。
とはいえ85%側をバカにして切り捨てていいわけではない。
自分がある分野では15%側に入れても、他の分野では85%側に入る可能性が高い。というかほぼ85%側に入るだろう。
標準的な偏差値でも、偏差値60以上は約15%。
60~:約15%
50~60:約35%
40~50:約35%
~40:約15%
100÷15=6.66…なので、上級視聴者は、大体6~7人に1人くらい。
体感的にも大体このくらいで合ってるでしょ。
なので内容の比率としては、ワクワク85%、フムフム15%くらいがちょうどいいのではないかな、と思う。
結果的にだけど、リバイスはフムフムの割合が多すぎたな。
ここから、ツイッターで書いた仮説。
視聴者の頭のキャパシティー(容量)にとってちょうどいいのは2クール(=6か月、今のウルトラマンの放送期間)くらいの長さなのでは?
4クール(=1年)は普通のライダー視聴者にとってキャパオーバーなのでは?
という仮説。
◆ツイッター引用ここから
最近色々特撮を見てきてるわけだが、ライダーは話を複雑にしようとしすぎて、一般人の理解のキャパを超えてるんじゃないか?(=視聴者のキャパは製作が考えてるよりずっと少ないんじゃないか?)という疑問がある。
セイバーはユーリが出てからの方が見やすいみたいな話も聞くし、オーズもそんな複雑な話じゃなかったと思うが。
まあいずれにせよ国語のテストより難しい内容にしたら駄目だな。
俺ここしばらくで、特撮視聴者の能力を大分低く見積もるようになってきたから。
なんとなく感覚的な話で明確にこうってのは言えないんだけど、最近ライダーとウルトラマンで複雑さが逆になってきてる?みたいな?
元々製作の傾向としてウルトラマンの方が小難しい話をやってて視聴者もそういうのを好む層で、一方ライダーの方が割と単純な分かりやすい話が好きで視聴者もそういうのを好む層で、みたいな感覚的な違いがあるんだけど。俺のイメージね。
ウルトラマンは2クール体制で、内容は複雑じゃないとは言わないけど、話が割とシンプル目になり、結果見やすく。
ライダーは4クール体制でやれる体力があるせいで内容に凝りすぎてしまい、結果シンプルさを失い、視聴者のキャパを超えてしまう。
ファン層とファン層が求める内容は変わってないのに、製作の傾向が変わってしまったことで、付いていけなくなる視聴者が出てくる、みたいな。
逆に新しくファンになる人もいるだろうけど。
従来のウルトラマンファンから見たトリガーとか、従来のライダーファンから見たリバイスって、どんな感じ?
となるとやっぱり根本的な問題として、4クールって長すぎて尺を持て余してるんじゃないかなって思うが。
・2クールで終わらせて、残り2クール何かやる(ウルトラマン方式)
・3クールで終わらせて、残り1クール劇場版みたいな特別編をやる(ゲームの本編+クリア後の世界方式)
・4クールで普通に上手くやる
結論:知らんし分からんけど上手くやれ。
昭和のライダーって「毎回怪人倒します。最後の方で幹部倒します。終わり」みたいな感じで、
平成は「ちょいちょい前後編の話入れて水増しします」みたいな感じで、
平成後期~令和は「毎週本編に絡んだイベント起こります」みたいな感じだと思うんだけど、
視聴者の頭のキャパを考えると、令和のやり方はあんまり良くないのかもしれないね。
視聴者の頭のキャパが実質2クール程度の内容で、今のウルトラマンが丁度いいくらいだとすると、今の4クールやってる仮面ライダーは視聴者からすると2クール分キャパオーバーということになる(=2クール分を水増し回に置き換えるとキャパ的に丁度良くなる)。仮説だけどね。
一般視聴者の傾向として、
ライダーよりノリダー。
難しいドラマより三谷幸喜とかクドカン。
リバイスよりドンブラ。
みたいな。
ドンブラとかプリキュアは「毎回毎回ストーリーガンガン進めます!」みたいな感じではないじゃない。いや多少は進めるけどさ。ゲームでいうとストーリー重視というよりサブクエスト重視みたいな。
ライダーも縦軸のストーリー重視路線より、ストーリー自体はシンプルにして、ストーリーにちょろっと絡めたサブクエ重視路線(=いい意味での水増し路線)の方が視聴者の頭のキャパ的にいいのかもしれんね。仮説だけど。
サブクエストってのは、メインストーリーではないし無きゃ無いでいい話だけど、やっておくと経験値が稼げたり世界観やキャラの理解が深まったりする、おまけイベントみたいなやつのこと。
あとは、小難しい話、しんみりした話、湿っぽい話、やるせない話、みたいなのはライダーファンにはウケが悪いっぽいな。
アギト、ブレイド、キバ、ウィザードみたいなの。
なんか製作者は定期的にやりたがるけど。
仮にウケてもそれはキタムランドみたいなネタ回としてのウケになってしまうだろう。
じゃあただの引き延ばしとか水増しに見えない優れたサブクエストとは何なのか?
サブクエストを盛り込んだ上手いペース配分とは?
って考えると、やっぱりストーリーに関係ありそうな部分の深掘りをする、みたいなことになるのだが。
今配信で見てるエグゼイドだとブレイブの恋人の話やってるけど、これはメインストーリーというより深掘りのサブクエってことでいいのかな。
メインストーリーで見るなら明らかにムテキが勝ち確でクロノスが負け確で瞬殺できそうなんだけど。
パラドを倒せばエグゼイドは変身できなくなるとか言ってる間に、うるせぇ!ボゴォ!って殴ったらそのままストーリー終わりそうだし。まあ引き延ばしに見えるよな。
◆ツイッター引用ここまで
ウルトラマンは一時期死に体になり、製作費が削られ2クールになった。
これがむしろ最近のストーリーの縦軸重視路線や、視聴者の理解力のキャパと上手くかみ合い、普通の視聴者から見て丁度いい塩梅になってシリーズ復活の一因になった。
仮面ライダーは水増し回による中だるみ批判を受け、縦軸のストーリー回を増やして、毎週毎週飽きさせないストーリー展開に力を入れるようになった。
しかし視聴者には4クール分も縦軸を理解するキャパが無いうえに、製作側としても毎年毎年凝ったストーリーを作るのが大変になった。
また製作側が変に頑張って、ライダーファンには致命的に合わない心情描写のある、小難しくしんみりした真面目なドラマを作ろうとしてしまった。
なまじ4クールやれる体力があるせいで、製作が変に頑張ると裏目に出るようになり、令和ライダー不調の一因となった。
本当は水増し回の内容を充実させるサブクエスト重視路線の方が、視聴者のキャパ的に正解なのではないか?
プリキュアやドンブラザーズは4クールやっているものの、そもそも毎週毎週縦軸のストーリーをガンガン進めていくような構成ではないので、内容的には昭和平成のライダーに近く、視聴者のキャパ的にも特に問題なく見られる。
というのが俺の仮説。
PR
COMMENT